
2024
PROJECT07 | 子育てとあそび場 隊員活動レポート

「子どもとお出かけ編集室」に所属して、佐賀県の「公園MAP」作成の仕事に取り組んだ堀江さん。「MAP」を作るはずがなんと全44ページ、立派な冊子を作り上げることになりました。
新卒で選んだ地域おこし協力隊としての仕事。はじめて暮らす佐賀県で、はじめての経験を楽しみながら時に悩みながら挑戦し続けた堀江さんの3年間を走り切った今の気持ちを聞いてみました。
「公園MAP」と聞くと、関係者の方々も利用される方々も1枚の紙を想像すると思います。それが、なんと全44ページ、大ボリュームの冊子になって完成しました。任期の3年間、いかに堀江さんがこの仕事に前向きに取り組んできたか、地域の人との関係性を大事にしてきたかがこれだけでも伝わります。冊子づくりで特に大変だったことはなんだったのでしょうか。
堀江さん(以下、堀江) 全部大変でした!(笑) 新卒で着任したので情報発信についてもやっぱり素人。編集作業も未経験、デザイナーさんやカメラマンさんといったプロの方々へ指示出しをしたこともありません。県の担当者の方に、「自由にやっていいよ」と言っていただくまでは、自分のやりたいことをどこまで入れていいのか、正解がわからない、どうしようどうしよう、と迷うことばかりでした。
スケジュールを管理するのも難しかったです。冊子に掲載した公園や飲食店は、全部で42カ所。相手のご都合もありますし、取材をさせていただくのも、原稿のチェックをしていただくのも42カ所。「この修正、反映されてたかな」みたいに、抜け漏れがないか、ドキドキしながらやってました。いろんな方のご協力のもとに完成した冊子です。
本当に完成するのかドキドキしました!と話しつつも楽しそうな堀江さん。笑顔が素敵です。
堀江 夏頃に完成の予定が、伸びに伸びて2月になりました。「もうこりごり」と感じることもありました。でも冊子ができるのを「楽しみにしてます!」とか「堀江さんのペースで大丈夫」と言ってくださる方もいて、そういう一言一言がすごく嬉しかったです。終わってから振り返ると、大変だったけど、意外と楽しかったのかな、と今は思えます。完成品が手元に届いて、色味も綺麗に調節して印刷していただいて、とても感動しました。
悩みながらも1つ1つ丁寧に積み上げて完成した「公園MAP」。堀江さんだからこそ作り上げることのできたたくさんの工夫が詰まっています。
有明海の干潟遊びが表紙の目印。どろんこで遊べる海は、佐賀の他にはなかなかありません。
冊子の仕上がりを拝見すると、プロの方々に丁寧に伴走してもらいながら編集やライティングの技術が格段に身についた3年目だったように感じます。特にこだわったところ、気に入っているページはどこでしょうか。
堀江 まずは、公園だけじゃなくて、自然体験ができるところや、室内のお出かけスポットもしっかり載せられたところです。取材を重ねていくうちに、保護者の方々は公園以外の遊び場も知りたいんだということがわかったので、公園MAPと言いつつも「こどものための遊び場」として幅を持たせられたことが嬉しかったです。これまでの協力隊としての活動で心がけてきた部分でもあったので、冊子に反映できてよかったです。
冊子の中にある塗り絵のページも最初から入れたかったページでした。公園というのは無料で遊べる場所なので、冊子の中にもお子さんが無料で遊べるスペースを作りたかったんです。県の担当者の方から、佐賀らしさを入れてはどうかとアドバイスをいただき、イカとかバルーンとか、そういう絵柄も入れました。
思い入れたっぷりの公園紹介のページ。この情報量で、44ページ!
堀江 他にもお気に入りがたくさんあるのですが、協力隊同期の天野さんに書いていただいた低山のページも気に入っています。デザインもすごくかわいく作っていただいて、全体的にいい感じにまとまったなと感じるページなので、ぜひみなさんにも見てみてほしいです。
最初は全体的にシンプルなデザインを考えていたんですけど、44ページもあるので、読んでいて飽きが来ないようにということと、お子さんたちにも楽しんでもらえるようにと考えて、最終的にはポップな雰囲気になりました。
たくさんの方に協力してもらいながら完成した「公園MAP」が、佐賀県内外のこどもとおでかけを考える皆さんの手にこれから届くと思うと益々たのしみです。この1冊をきっかけに、佐賀県の遊び場にこどもたちの楽しい声が広がりそうです。
編集から印刷までを手掛ける地元企業の受け入れがあったからこそ学べたこともたくさんあったようです。
冊子の制作に取り組む中で、家族写真の撮影会にも取り組んだという堀江さん。どんな企画を考えたのでしょうか。
堀江 無料で家族写真をプレゼントする代わりに、冊子にその写真を使わせていただく、という企画をやりました。任期の2年目に3回、3年目は4回。最初のうちはカメラマンさんに撮影を依頼していましたが、3年目は全部自分で撮りました。県から貸与していただいた一眼レフカメラが 大きかったので、重くて重くて腕がぷるぷるになりながら「落としちゃいけない、汚しちゃいけない」と、干潟の上でなんとか頑張ったのが思い出です(笑)。
家族が揃った写真って意外に撮る機会がありません。参加してくださった方々には、楽しんで、喜んでいただけたと思います。公園の写真としても、人が入っているのといないのとでは印象が違うので、こういうイベントもチャレンジしてよかったです。
ただ「公園MAP」を作るだけでなく、クオリティも上げつつ、協力してくださった方にも嬉しいことがある。1つ1つの仕掛けにも堀江さんの工夫がいっぱいです。
佐賀の遊び場で楽しむリアルな親子の姿がたくさん載っているのも堀江さんの工夫の1つです。お気に入りの塗り絵ページもかわいいですね
東京出身の堀江さん。改めて、公園を通して感じた佐賀県の魅力や、はじめての1人暮らしを通して感じた魅力をを聴いてみたいと思います。
堀江 佐賀県の公園は、こどもたちにとって本当に遊びやすいと思います。保護者の方も安心してこどもを遊ばせることができます。そういうところが、佐賀のいいところの1つだなと思います。広々としていて、ふかふかとした芝生があって、木々がたくさんあって、どんぐり拾いとかもできて。自然の中での遊びが見つけやすいのは佐賀ならでは。公園を紹介する文章を書いているとなんか似たような表現になってしまうのですが、本当にどこも広々してて、自然があって(笑)。「ピクニックにおすすめ」をいろんなところに書いちゃいました。
3年間の間に佐賀県内の本当にたくさんの場所を歩いてまわった堀江さん。彼女自身が誰よりも佐賀県内の遊び場に詳しくなりました。
堀江 私個人としても、佐賀の暮らしはちょうどよかったです。はじめての1人暮らし、正直最初はどこでもいいなと思っていたんですけど、3年経って「佐賀でよかった」とすごく感じています。たとえばごはん。佐賀に来てはじめて、白米、塩むすびが「おいしいっ!」と思いました。これはもう絶対、お米がおいしい、お水がおいしいから。普通のスーパーでも、野菜、お魚、お肉も全部が新鮮です。産地の食材だからですね。
それと、県がコンパクトで移動がしやすいこともよかったです。県内どこへ行くにも、1時間か1時間半くらいで着くというのがよかったです。知らない土地で運転することに最初は緊張していたんですけど、今は「国内だったらどこでも行けるな」と思えるようになりました。
3年間を通して編集の技術はもちろん、暮らしを営み楽しむことを身につけた堀江さん。佐賀という豊かな土地を活かせたのは堀江さんの素直さと前向きさがあってのことです。
3年間でたくさんのことを身につけ、どこへでも行けるようになった堀江さん。任期を終えて、これからの仕事や暮らしのことを話してもらいました。
堀江 まず、協力隊の仕事を通して、人と人との関わりというものがすごく大切なんだなということを改めて考えました。私はもともと「石橋を叩いて渡る」派なので、新しい1歩を踏み出すことに苦手意識がありました。でも、SMLの同期の仲間たち、お仕事で関わった方々は「フッ軽」というか行動力のある方が多かったんです。「フツ軽」っていうのは「フットワークが軽い」ということなんですが、とてもいい刺激になりました。学べる相手がすぐ近くにたくさんいてくださったことが本当にありがたかったです。少しは社会人になれたかな、と思います(笑)。
でも、3年間を振り返ると、もっとできたかも、みたいな気持ちもあります。もっと行動できたしもっと成長できたんじゃないかと思います。だからこそ、次に何をしたいか。ちょっとゆっくり考える時間をとってみたいです。佐賀は第二のふるさとと言える大切な存在になったので、どこかで繋がり続けていられるような、そういう関係にしたいです。
子育て真っ最中のお父さん、お母さん、おばあちゃんやおじいちゃん、そしてこどもたちの声に、公園を運営したり、身近でこどもたちを見守る地域の方たちの声に耳を傾けて、向き合ってきた堀江さん。その成果となる44ページの冊子は、佐賀県内の図書館、児童館、観光協会、移住支援室などに設置してあります。ぜひ、手にとってみてください。この1冊からさらに佐賀の魅力が深まりそうですね!堀江さん、本当にお疲れ様でした!
取材・文 いわたてただすけ
※この記事は2024年2月取材時点のものです。
技術的なことも、佐賀のことも。なんでも教えて、サポートしてくれた音成印刷の信介社長と。
追記
堀江さんは2025年3月末に任期を満了され、SML(佐賀県地域おこし協力隊)を卒業されました。卒業後は、佐賀を離れ記者として情報発信の仕事に携わっているそうです。これからも佐賀と繫がりを持ちながら、3年間の経験を土台に新たな仕事と暮らしを楽しみつつ、さらに羽ばたいてくれることを楽しみにしています。
堀江さん、新卒の貴重な時期に、佐賀県に来てくれてありがとうございました。3年間お疲れ様でした。