
vol.8 2025.3.20

「え! 県庁にも地域おこし協力隊がいるの?」
と言われることが多いですが、この記事を読んでくださっている皆さんはご存知の通り。都道府県庁の地域おこし協力隊も、数は少ないですが、実は存在します。
SCNメンバーがリレーする連載「佐賀ぐらしの歩きかた」、最後の記事は都道府県庁採用の協力隊のお話です。と、書き始めつつ、さっそく目頭が熱くなる想いです…。というのも、先日、佐賀県地域おこし協力隊SAGA MEDIUM LAB.(以下、「SML」)10名の卒業報告会があったんです。当日も大号泣でしたが、思い出しても大号泣です…(笑)。今回はそんなSCN門脇恵から最後の連載をお届けしたいと思います。
令和3年(2020年)にSMLの募集が決まった頃、10企画という複数企画での募集は、都道府県庁採用の地域おこし協力隊としては珍しい形でした。佐賀県庁では平成29年(2017年)からコンスタントに地域おこし協力隊を導入していますが、SMLほどの規模は初めてでした。SMLを見守るこの4年間で気がついた都道府県庁の地域おこし協力隊の特徴は大きく3つです。
都道府県という単位が、どう考えても市町村単位より大きい。過去の佐賀県庁の地域おこし協力隊の場合、その特性を活かし、複数市町にまたがる山間部をひとつの地域とみなし、その地域の情報を発信する隊員を3名採用したこともありました。広域だからこそできること、市町村の垣根をまたげることは大きな特徴です。
今回のSMLでも「低山トレッキングガイド」、「山菜料理人見習い」、「子どもとおでかけ編集室」は、まさに広域だからこそできた企画です。市町村単位だと活動エリアや人材が少なく活動としては物足りなかったかもしれませんが、県域を駆け回ることでたくさんの人と人、人と情報、人とコトをつなぐことができたのではないでしょうか?
広域だからこそできることがある一方で、広域だからこそできないこともあります。地域おこし協力隊としては少し矛盾を感じるかもしれませんが、都道府県庁の隊員は直接地域に入るためには、必ず市町村を通す必要があります。これは自治体としての役割分担があるからです。都道府県には複数の市町村をまとめ、市町村では対応しきれない広域的なサポートを担う役割。市町村には住民に最も身近で日常生活に直結するサポートを担う役割。それぞれに分担があるのです。
「くらしのモビリティサポーター」や「多文化コミュニケーションプランナー」、「子どもの居場所立ちあげサポーター」は、最初は県内の全20市町が出席する会議や、市町の担当職員さんへのあいさつ回りから仕事が始まりました。市町を通して地域と繋がる。ある意味では、都道府県庁の隊員にとっては市町村という自治体組織とつながることも活動地域のひとつであるのかもしれません。
そして、地域交通や多文化共生、子どもの居場所といったテーマは大きな社会課題であると同時に、実は自治体を悩ませる種でもあるのです。これらの課題は独立した担当課や係が設置されていないことが多く、また近年顕在化してきた課題でもあるため、その他の様々な業務と兼務になっていることが多いのです。何か手を打ちたい、でもどうしたらいいのか、誰に相談したらいいのかわからない、手がまわらない。そんな時の頼り先として、SMLのメンバーがこうした悩みの種を掬ってくれたのではないかと思います。
前出の広域性と少し近いかもしれませんが、市町村という垣根に捕らわれずに活動できることは大きな強みです。市町村の隊員が市町村域をまたいで活動するには通常は自治体のお許しが必要です。
「アフター移住サポーター」や「さがむすび隊」、「七つの島の聞き書きすと」は県内のどこで声がかかっても駆けつけることができる。県内のどこへでも情報を届けに行ったり集めに行けるからこそ広がり飛躍したのではないかと思います。
もちろん、他の企画でも、たとえば市町村隊員から「うちの地域にこどもの居場所を立ち上げたいっていう人がいるんだけれど…」、「近所に外国人がたくさん住んでるよ」そんな情報をキャッチしては繋げていく。市町村単位だと小さいけれど、都道府県単位にすると連携を生むというテーマ性が都道府県隊員の面白さの秘訣なのかもしれません。佐賀県らしさのひとつである県や市町の隊員が垣根を越えてつながりあっていることで広がった活動の輪がたくさんあったように感じます。
応募総数97名。10企画11名が着任。うち10名が3年の任期満了で卒隊(1名は2年満了時に卒隊)。6名の隊員が佐賀県に定住。地域おこし協力隊は定住率で計られることが多いですが、それ以上にたくさんの価値とつながりをSMLのメンバーは残してくれました。その雄姿は、ぜひそれぞれの最後のインタビュー記事をご覧ください。メンバー1人1人の雄姿が眩しすぎて、私は涙してしまうのでこの場では控えさせていただきます(笑)。
最後に、募集から卒業まで4年にわたりお付き合いただきました皆様には、感謝してもし尽せません。SML編集長西塔大海さん、副編集長原田佑馬さん、高橋めぐみさん、カメラマンの藤本幸一郎さん、SMLを受け入れてくださった地域の皆様、貴重な学びの場と挑戦を託してくださった佐賀県庁の皆様、SMLメンバーのみんな、SCNのメンバー本当に本当にありがとうございました!
すべての方のお名前を挙げきれませんが、4年間という時間を共に過ごさせていただいたことは、私にとってもかけがえのない財産でした。また、別の形で皆様とお会いできる日を楽しみにしております。最後までお付き合いいただきありがとうございました。