PROJECT07 子育てとあそび場

ふらっと来てもらえる 公園づくりを目指して

みんなの公園スタッフ
村元奈津さん

取材・文:門脇享平

PROJECT 7

子どもを連れて、次の休みはどこへ行こう? 子育て中のお父さん、お母さんはもちろん、孫と一緒に遊びに行くおじいちゃん、おばあちゃんまで。子どもを連れてどこへ遊びに行くのかを考えることは楽しみでもあり悩みの種でもあります。遊園地や水族館もいいけれど、手近でお金もかからず、のびのびと子どもが過ごせる公園が近くにあるかどうかは子育てのしやすさにもつながります。安心してかけ回れる広場、遊具がたくさんある公園、佐賀にはたくさんの魅力的な公園があります。

今回は、その中でも江北町にある「みんなの公園」スタッフの村元奈津さんにお話を伺いました。広々とした芝生広場、ウッドデッキのついた解放感のある交流棟とカフェテリア。うつくしく緑が輝く「みんなの公園」は2019年に住民の声をもとに誕生しました。

居心地の良い空間の裏には、もちろん苦労もたくさんあるとのこと。スタッフが常駐するからこそ見えてくる公園の魅力やニーズ、むずかしさはどんなところにあるのでしょうか?

芝生広場はハート型!? みんながくつろげる空間をつくるための工夫

「みんなの公園」は、芝生広場を中心に南側には交流棟とカフェが併設され、北側にはこう配のついた緑豊かな丘が作られています。公園の周りを樹木で囲うことで、非日常の空間を作り出して、誰もがリラックスできる場所になっています。

村元さん(以下、村元) この公園、実は、江北町そのものをイメージしています。江北町の北側には御岳山という山があるんですけど、この公園は北側に小さな丘があって、その先の景色に本物の山がある、借景になっています。町の南側の平野は芝生広場で表現しています。江北町は、ちょうど佐賀県の中心に位置していることから「さがのおへそ」と呼ばれています。おへそと言いつつなんですが…、中心と言えばやっぱりハートだよね! ということで、町の中心部という意味も含めて、芝生広場はハートのかたちなんですよ。

公園ができる前から、この地域には若い移住者の方々が増えてきていて。それなのに小さな子どもたちが遊べる公園が近くになかったから、住民の皆さんから「公園が欲しい」という要望が出てきたんです。その後「子育てママ タウンカフェ」という保護者の集まりが数回あるなかで、公園を作りたいという計画が立ち上がりました。

小高い丘と木々が近くの商業施設を覆い隠し自然な景観をつくりだしています。奥に見えるのが御岳山です。

住民と行政が協力することで立ち上がった計画は、オープン・エー/ランドスケープ・プラス 共同体による設計に引き継がれました。出来上がったこの公園は、どこか温かみを感じる空間となっています。

村元 優しい感じで、目線が低くなるようにデザインされているんです。緑があって、景色が良いですよね。交流棟は室内にいても、ウッドデッキにいても公園全体が見渡せるように芝生広場を囲んでいます。だから、お母さんたちもくつろぎながらこどもの様子が見れて安心感があるみたいです。子どもを見守れて、木陰になっていたり、室内で少し休めたりする空間があることってすごく大切なことなんです。

子ども見守ることができるウッドデッキ。子どもだけでなく保護者ものんびり過ごせます。

取材に伺ったのは、ある水曜日の10時半ごろでしたが、取材をしているうちに、あっという間に人が増えてきました。お子さんを連れたお母さんや若い男性の方、町外から来られたカフェ利用の方など、老若男女問わず、それぞれの公園の楽しみ方をしています。

村元 町の方針もあって、この公園では「これはだめ」というルールをつくらないようにしています。子どもたちはボール遊びをしたり、キックボードで遊んだり、凧揚げをしようとしたり、いろんな遊びを始めようとします。どの遊びも許してあげたいけれど、固いボールで激しく遊ぶと小さなこどもが遊べなくなってしまうし、芝生広場でキックボードをしたら芝生が傷んでしまう。その度に、スタッフ内で話し合いながら、公園内での過ごし方を決めています。

以前、子どもに「今は小さい子もいて危ないから、ボール遊びはやめよう」と言ったら「“みんなの”公園なのにだめなんだね」と言われました。「そうだよね」と共感する気持ちと、だからといって、「すべてを良しとはしてあげられない」という気持ちで板挟みになります。あれはダメこれはダメとしないようにやっていたはずなのに「あそこの公園は厳しい公園だもんね」って言われることもあり、悩むこともたくさんあります。

交流棟には小さな子どものためのえほんコーナーも用意されている。放課後立ち寄って勉強をして帰る小中学生もいるそうです。

ウッドデッキにもこどもたちが自由に遊べるアイテムがそろったコーナーが用意されています。手書きで書かれた虫への注意喚起の看板もかわいい。

お母さんも、こどもも知らない、本当にほしい公園の情報

注意する、納得いかないの繰り返しの中で、アンケートを取ったりもされたそう。せっかく来た子どもたちには十分に遊んでほしい。けれど、限られたスペースの中でみんなの望みを叶えることは難しい。ひとつの公園だけでは子どもたちのニーズがカバーしきれないという現実もあるようです。どうしたら心地よい空間を維持していけるのでしょうか?

村元 ここは小さな公園だから、野球やサッカーなど、広い場所が必要な遊びは難しいと設立時から思っていました。一方で、周辺には、ボール遊びができるような広いスペースがあったり、遊具がもっと充実していたりと、特徴ある公園が他にも4つほどあります。だから、この公園をオープンしてから、近くの公園を紹介するマップを作ってみたんです。

村元さんがつくった公園MAP。それぞれの公園の特徴がわかりやすく書かれています。

村元 どこの公園に行けば、ボール遊びができるのか、水遊びができるのか、BBQができるのか、という情報を保護者さんもこどもたちも知らないこともあるようです。もっと言うと、何時だったら、何曜日だったらどの公園・施設で遊べるのかとかもわからなかったり。そういった近隣の公園情報をまとめて夏休み前に学校で配ってくれたらいいのにっていう声も聞きました。

一般的には公園にはスタッフがいないので、利用者さん同士がお互いに気をつけあって公園を利用しているのではないかと思います。この公園にはスタッフがいるので、利用者からの「もっとこうしてみたら?」という声が良くも悪くも届きやすいんだと思います。だからこそ、その声に耳を傾けて、臨機応変にみんなのための公園になるよう努力しています。

村元 この公園は、江北町からの指定管理を受け、地元の土木会社の社長さんを中心に、私たち常駐スタッフやカフェスタッフ、草木の管理や公園の開け閉めをしてくださる方々で運営しています。社長は「来た人に楽しんでもらいたい」という気持ちがとにかく強くて。蛇口をきれいに磨いたり、野菜を置くようにしているのも、利用者さんに楽しんでもらうためのこだわりです。

悩むこともたくさんありますが、みんなが喜んでくれるように試してみた工夫がうまくいって、利用者さんが喜んでくれると、私もしめしめって思います(笑)。公園にスタッフが常駐しているからこそできることがあると思うので、これからも工夫をしながら、みんなが楽しめる居心地のいい空間をスタッフみんなと、公園を利用してくださるみなさんと、作っていきたいと思っています。

悩みながらも前向きに、日々の運営に励まれている村元さんたちスタッフのみなさんがいるからこそ、「みんなの公園」は、“みんなの”公園としていつも明るくひらかれているのですね。みんなの声で進化していく新しい公園のあり方を知ることができました。

さて、次の記事は、「子どもとおでかけ編集室」のお仕事の募集の紹介です。公園を利用される方々に、公園の情報はなかなか届きづらいもの。そこには、情報が整理されていないこと、情報を発信する人がいないこと、保護者がそう言った情報を欲していることに気づいている人が少ないこと、といった課題がありそうです。まさにこういった公園の情報を届けるのが「子どもとおでかけ編集室」の役割だそうです。一体どんなお仕事なのでしょうか?

取材・文:門脇享平

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