PROJECT04 移住者の声と行政

移住者の声を佐賀県庁に届ける仕事 “アフター移住サポーター”

佐賀県庁 地域交流部 さが創生推進課
移住支援室
室長 副島篤子さん
係長 栁川智弘さん

取材・文:庄島瑞恵

PROJECT 4

平成27年度からはじまった佐賀県庁のワンストップ型移住・定住支援。仕事のこと、家のこと、保育園、地域ごとの特色など多岐にわたる情報提供を移住支援室では、まるごと担っています。時には就職先を探すだけでなく、面接指導までも請け負うほどのこまやかさ。一方、広報活動としては、「人生のS暮らすSAGA」というブランドイメージで、佐賀での暮らしを選ぶことで今までよりももう一歩、豊かな暮らしを得られることを強みに佐賀暮らしのPRを行ってきた。

時代のニーズに合わせて柔軟に変化を遂げてきた佐賀県庁の移住支援室が、新たな人材を求めています。その名も「アフター移住サポーター」。移住後の暮らしのリアルな声を集め、佐賀県庁の移住支援室に届けるお仕事です。移住後のリアルな声こそが、次の移住支援につながると同時に、定住の促進にもつながるのではないかと移住支援室の皆さんは考えています。移住支援室の副島篤子さんと栁川智弘さんに詳しいお話を聞きました。

移住支援室外観。佐賀県庁新館の正面玄関を入って右側にあります。

ようこそ佐賀へ! その後はどうなったの…? 地に足の着いた移住定住支援とは?

どこの移住相談窓口でも「暮らしやすいですよ」「いいところですよ」「ようこそようこそ!」と口を揃えて出迎えてくれます。もちろん、移住の入口で不愛想だったり、冷ややかな対応をされると、それだけで移住希望者から見た地域の印象は、がくっと下がります。丁寧で手厚い移住の入口は何よりの移住支援につながります。一方で、暖かく迎え入れたそのあと、移住者たちはどのように地域で暮らしているのでしょうか?

栁川さん(以下、栁川) 実は移住したあとって、お会いする機会がなくなってしまうことが多いんです。もちろん、あのとき移住したあの人はその後、元気にしているか…と、気になるんですよ。でも、次から次へとやってくる移住希望者を目の前になかなか、移住した後の人を追うことができかったのが現状です。
だけど、本当は、そうやって移住した人たちがどうやって暮らしているのか、移住前にイメージしていた暮らしと移住後の実際の暮らしが、良い面でも悪い面でもどう違うのか。何に困って、何に驚いたのか。このリアルな声こそが、これから移住したい人にとって聞きたいことだし、その声を元にしないと本当の意味での定住支援もできないんじゃないか? って思っているんです。

笑顔が素敵な担当の栁川さん。いろんなところに出張にいけるのも、この部署の魅力だそうです。

副島さん(以下、副島) 私たちは「人生のS暮らす」という企画で、移住促進のためのPRを毎年行っています。その中でも、できるだけリアルな移住者の暮らしや姿を届けられるように心がけています。移住者の方たちは本当に面白い人たちばかりで、夢を描いて佐賀にやってきて、カフェを始める人もいれば、趣味だった釣り三昧の日々を送る人もいて、キラキラと楽しそうです。だけど、移住者ってそういうキラキラした人ばかりじゃないんじゃないかって思い始めたんです。
移住者って本来は夢を描いて心機一転してくる人だけじゃなくて、旦那さんの仕事の都合で一緒に佐賀に引っ越してきた主婦の方や、両親の介護などのために仕方なく地元に戻ってきたUターンの方まで本当にいろんな人がいるはずなんですよ。
それに、どんなにキラキラして見える人にも必ずリアルな暮らしがあるはずなんです。キラキラの裏側にあるリアルな部分こそが本当に必要な情報なんじゃないかと思っています。

栁川 キラキラした移住も素敵だし、その美しい部分もこれからも届けていきたいと考えているのですが、僕たちはもう一歩踏み込んで、地に足のついた移住促進を目指していきたいと考えています。移住してみて実際にどうなの? 暮らしやすいの? 不便なの? そういったことを、掘り下げていきたい。そうすることで、県外からいろいろな理由で佐賀へ引っ越してきて暮らすことになったさまざまな背景を抱えた人たちが、少しでも佐賀の暮らしを楽しめるようサポートしていきたいんです。

副島 だから、今回、同じ移住者という立場でもあるアフター移住サポーターの方には、さまざまな背景や立場の移住した人たちのところへ行ってリアルな声を集めてくる役割を担ってほしいんです。そして、それを土台として、一緒により良い移住・定住支援の在り方を考えていきたいと思っています。

室長の副島さんは大の日本酒好き。佐賀の美味しいお店を知り尽くしています。

仕事の魅力はたくさんの面白い人に出会えること

アフター移住サポーターの主な仕事は移住者の声を聞きに行くことです。3年間の仕事の進め方はどんな風にイメージしているのでしょうか?

栁川 1年目は私たちと一緒に移住者の声を聞きに行くことからはじめてもらいます。徐々になれてきたら、イベントなどでも、その声を元に移住を考えている人に、移住の本音の部分の情報を他のコーディネーターと一緒に提供してもらえたらと思っています。
2年目では、さらに人脈を広げながら移住者の声を聞いてまわりつつ、特定の移住者をターゲットにしたミニ座談会のようなものを企画してもらえたら嬉しいです。

副島 たとえば、佐賀に移住した主婦のつどいとか、単身移住男子の会とか…。同じような境遇の人を集めることで、同じ立場の人同士の横のつながりを提供しつつ、こちらも一定の移住者のリアルな体験談を集めたり。私たちからは想像できないような思いがけない話が出てくるのではないかと思っています。どんなことを企画するかも一緒に話し合っていけたらと思っています。

栁川 最後の3年目では、引き続き移住者をまわりつつ、3年間で集めた情報のストックを引き継げるようにできたらと思っています。アフター移住サポーターを務めてくださった方自身もその頃には佐賀の暮らしに慣れ、たくさんの楽しい仲間たちが増えているはずです。この仕事の一番の魅力は、いろんな生き方、働き方に出会えること。たくさん出会った人たちの中から、もしかするとご自身の理想の生き方が見つかるかもしれません。もし県庁の仕事が向いていると思ったら、県庁の中途採用試験にもトライしてもらいたいです。

副島 3年後には、アフター移住サポーターの方自身が素敵な移住者として取り上げられるような佐賀のキーパーソンになっているのではないかと楽しみに妄想しています(笑)。私たち自身も日頃から、たくさんの人たちと出会うことによって暮らし方、働き方に対して本当に深く考えさせられています。ある意味リアルな生き方、働き方の見本を見て歩いてまわる仕事と言ってもいいかもしれませんね。

移住っていうより、お引越しくらいの気持ちで待っています!

全国でも珍しいワンストップ型移住支援を行う移住支援室は、県庁の中でも、特にアットホームな場所です。佐賀県庁の入口、なんて表現する人もいるくらいに明るく開かれています。副島さんや栁川さんをはじめ移住支援室の皆さんはいつも笑顔で楽しそう。時には重い相談もあるそうですが、チームでタッグを組んで対応することで乗り越えているそうです。

栁川 自分自身もまだまだ勉強中ですが、自分が知り合った佐賀の魅力的な人はすべて紹介したいと思っています。アフター移住サポーターが来てくれたらますます楽しくなるんじゃないかとワクワクしています。

副島 移住っていうと重い気がするけれど、引っ越しくらいの気持ちで来ていただいて、一緒に暮らしをつくっていけたら嬉しいです。移住という言葉をもっと軽くできたらいいのにといつも思っています。そのヒントを一緒に見つけたいです。

移住ってどういうことなんだろう? 佐賀のことがもっと知りたい! 誰かの役に立ちたい。人が好き。そんな人にぴったりのお仕事です。
理想の暮らしも、何を大切にするかも人それぞれ。働き方も住む場所ももっと自由に選択できる時代になりました。あなただけの理想の暮らしを佐賀で見つけませんか?

取材・文:庄島瑞恵

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