PROJECT06 外国人と友だち

地域と外国人を結ぶ。 知らない人が友だちに変わるには?

佐賀県庁 地域交流部国際課
多文化共生担当係長 山田裕子さん
多文化共生コーディネーター 北御門織絵さん

取材・文:庄島瑞恵

PROJECT 6

佐賀県には、70か国を越える国から来た約7,000人の外国人が、働くため、学ぶため、ときには結婚のため、さまざまなきっかけで暮らしています。ところが、ことば(日本語や多言語)や交流の機会の不足から地域において、外国人・日本人ともに相互にコミュニケーションが取れずに不安を抱えている現状があるようです。

そこで今年の春、多文化共生施策に注力すべく、佐賀県庁に新たに多文化共生の係が立ちあがりました。多様な文化的背景をもつ人々がお互いを認め合い、地域社会の一員として共に生きていくことを多文化共生といいます。

外国人にとっても日本人にとっても、もっと暮らしやすい佐賀県をつくりたい。そんな熱い思いから佐賀県庁地域交流部国際課は、地域と外国人を結ぶ多文化コミュニケーションプランナーを新たに募集します。担当の山田さんと北御門さんから詳しいお話を聞きました。

思い込みが交流の機会を逃している?! 話してみると実は...

今回募集する、多文化コミュニケーションプランナーには、多文化共生の地域づくりを進めるために、地域と外国人を結び住民みんなの笑顔を引き出す役割を果たしてほしいそうです。住民みんなが笑顔になるとはどういうことなのでしょうか?

北御門さん(以下、北御門) まず、佐賀に住んでいる外国人のみなさんは、佐賀県民です。私たちと同じように市町に転入し、市民、町民として「生活者」として暮らしています。そして、意外かもしれませんが、日本で暮らす外国人のみなさんは実はそれなりに日本語が話せるんですよ。でも、地域住民の方々は、相手が外国人というだけで、「私は英語が話せないから、外国人の方とはコミュニケーションがとれない」とか、「どんな風にお付き合いしていいかわからない」と関わることに一歩踏み出せない状況にあります。でも、コミュニケーションをとるきっかけさえあれば、その距離はぐっと近づきます。

山田さん(以下、山田) だから、私たちの仕事は自然に、地域住民と外国人住民が関わるきっかけをサポートすることです。たとえば、公民館で料理教室をしながら地域住民と外国人が交流をする機会をつくる。そうすると、話せないと思い込んでいた外国人が、ものすごく流暢な日本語で話しだしてびっくりする。「あら~、あなた本当に日本語が上手ね~!勉強しているのね!」とみんな感心して目を輝かせはじめます。たとえ片言の日本語だったとしても、それはそれで一生懸命コミュニケーションを取ろうと頑張る姿に地域の人たちはやっぱり感心して、相手のことをもっと知りたいと思うんです。

多文化共生は教育や医療、福祉など幅広い分野と隣接します。県庁内でいろいろな課を経験してきたことが活かせそうと話す山田さん。

北御門 地域の中で生活をしている技能実習生や留学生はとにかく元気です。お互いなかなか知り合う機会がないのですが、イベントなどで相互にコミュニケーションが取れると、「自分の子どもと同じ年ごろなのね」とか「子どもを学校に行かせるために日本に働きに来ているの?」と、交流を通してお互いを知ることで私たちがなにもしなくても話がはずみ交流が深まっていきます。 そうすると、今まで、話したいけど、交流したいけど、そのきっかけがなかった地域の人たちが、交流の機会を通じて地域の多様性や異文化を知るきっかけとなります。外国人住民にとっても、日本語や生活ルール、地域の風習などを知ることができ、顔を合わせる回を重ねていくと、異国での生活で困ったことやわからないことなどを、日本人に聞けるようになります。こうなってくると、みんなが前よりちょっと笑顔になれますよね。

山田 現実的には「どうして外国人のことまで考えなければいけないんだ」と言われることもありますが、対話を通して少しずつ歩み寄っていくことが大事だと思っています。佐賀県民としてお互い不自由なく、お隣さんという感覚で、国籍を問わず日常的に笑顔で挨拶できる社会になることが理想です。

確かに、ことばや文化のちがい等からできた距離を双方向から縮め、「いい天気ね。そこで安売りしていたよ」と自然にコミュニケーションできるような暮らしが実現できたら、今よりも笑顔の多い、良い社会になりそうです。そんなきっかけづくりを担うのが多文化コミュニケーションプランナーなのですね。次は3年間の活動についてより深く話を聞きました。

佐賀県の多文化共生を牽引する北御門さん。地域と外国人の頼もしい架け橋です。

ひとりにさせない! 一緒に歩む多文化共生

同じ日本といえども、新しい土地で暮らすことは何かと不安がつきものです。少しずつ佐賀の暮らしに慣れながら仕事にも慣れていってほしいと山田さん、北御門さんは話します。3年間のイメージもしっかり考えてくれているようです。

1年目 佐賀を知ろう、そして繋がろうまずは佐賀県のことを知ってもらうため、国際課職員と一緒に行動し、県内の企業や行政担当者、支援者の方たちと、顔の見える関係を作っていきます。県が推進している多文化共生の施策や県という行政の仕事、心構えについて学ぶ1年。

2年目 繋がりから行動へ県内をまわり、いろいろな人たちと意見交換をしながら、ネットワークを築いていきます。そして、国際課の多文化社会コーディネーターや日本語コーディネーターと一緒に、地域と外国人住民を結ぶ事業を企画してみましょう。企画の立案や実施、広報や周知の仕方などについて実践しながら学びます。

3年目活動を広げよう2年目の活動を継続しながら、さらにその輪を拡大。それまでに生み出してきた企画を軸に、築いてきた地域とのネットワークをフル活用し、任期満了後も見据えながら活動します。

北御門 佐賀県として多文化共生の推進にかかる施策が始まったのは、まだ最近のことです。ですので、県として多文化共生の仕事には前例やマニュアルがありません。また、それぞれの地域にはそれぞれの背景があるため、アプローチの仕方も当然変わってきます。先進的に取り組んでいる他県の事例(事業)をそのまま佐賀県に持ってきても、同じようにはいかないんです。対話と実体験の繰り返し、トライ・アンド・エラーの積み重ねがなによりの力になります。だから、多文化コミュニケーションプランナーとして独り立ちするまでのサポートは惜しみません。

山田 国際課の職員は約20名。メンバーには国際交流員としてオランダや韓国、ベトナム人も働いています。頼れる先輩もたくさんいますし、仕事柄みなさんオープンマインドです。

佐賀県の国際交流プラザはいつも明るい雰囲気。多文化共生のイベントや外国人の方たちの相談窓口があります。

佐賀県庁の国際課と国際交流プラザ内の事務所の2か所で仕事をします。

北御門 私たちの仕事はどちらかというと裏方で、地味な仕事かもしれません。イベントや場づくりがうまくいったとしても、人はやらされた感があると、どうしても拒みたくなってしまうものです。あくまで地域の皆さんが、地域の現状と多文化共生を理解し、外国人住民とのコミュニケーションのきっかけを自らの意思で創り出していくことが大事であり、私たちはそれに伴走し、一緒に考え、課題を共有し、取組を進めていきます。地域の方々が主役になること、これに伴走することを楽しめるような人に来てもらえると嬉しいです。 語学ができることももちろん大切ですが、なにより、常に相手の立場になって、住んでいる皆さんの考えていることや思いを丁寧に汲み取ることが大切です。地域の何気ない共通した1つの課題だとしても、関わる人の立場が違うと、当然考え方や意見なども違ってきます。そのため、それに対して一生懸命解決したいという気持ちはあるのだけどまとまらない場合もあります。かといって、それぞれの意見が間違っているわけではありません。そのそれぞれの意見をクッション代わりとなって受止め、より良い状況に持っていけるよう、私たちと一緒に問題や課題の解決に向けて筋道を立てていきたいです。

山田 仕事をしていて横道にそれたり、わからないことがでてきたとしても心配いりません。私たちがちゃんとフォローします。一緒に考えましょう。突拍子もないアイデアを出しても、突っ込みながらアドバイスしますよ。新しい仲間が来てくれることを楽しみに待っています!

今回の募集を2名にしたのは、同じ立場の仲間がいたら相談し合い励まし合えるからだそうです。どんなときにもひとりにさせない。一緒に進めていきましょう!というこのあたたかいアットホームな空気感こそがまさに多文化共生そのもののようです。頼れる先輩がたくさん待っている国際課で地域と外国人を結ぶお仕事に挑戦しませんか?昨日まで知らない人だったたくさんの人たちが、あなたの友だちに変わるはずです。

取材・文:庄島瑞恵

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