あの公園でボール遊びはできるかな? 大人も休める日陰はあるかな? 授乳室はあるかな?公園があるのは知っているけれど、その公園が、自分の子どもがのびのび遊べる公園なのか?意外にわからないものです。公園情報はあるものの、子どもと行くことを前提とした大人が欲しい情報がなかなか集約されていないのが現状。子育て経験のある方は何度となく直面する困りごとのはずです。この悩みを解決し、佐賀県の子育てのしやすさを向上させるのが「子どもとおでかけ編集室」のお仕事です。
地域おこし協力隊として佐賀県へ移住して、県内の魅力的な公園を体験し、周辺の飲食店やショップなどを取材。それを記事にまとめて情報発信をする。そして、3年間の集大成として、子どもとのおでかけに必要な情報が詰まった公園MAPを作る。今回はそんなお仕事のお話です。
さらに、この企画の良いところは、プロの編集者・ライターが、サポートをしてくれるところです。詳しいお話を佐賀県庁の担当課の野口さん、太田さん、今回の雇用主となる株式会社音成印刷の担当の音成さん、眞子さんに伺いました。
佐賀県は「子育てし大県"さが"」プロジェクトに取り組んでいます。佐賀県で出会いたい。結婚したい。出産したい。子育てしたい。それぞれの希望が、どんなライフステージでも自然に叶うような大きな県にしていこうという試み。子育て世代を応援する様々な挑戦の中でも今回は「公園の情報発信」をテーマに、人材を募集しています。具体的なミッションは、次の通りです。
① 独自SNSコンテンツ「こどもとおでかけ編集室」(仮)の立ち上げと情報発信
② 佐賀県公式SNS「子育てし大県"さが"」(Instagram / Facebook)を活用した情報発信
③ 佐賀県全域を網羅した子どもとおでかけするための公園MAPの作成(印刷物)
なぜ、公園なのか。どんな情報発信を求めているのか。県の担当職員である野口さん、太田さんに伺いました。
太田さん(以下、太田) 私自身も子育て真っ最中なのですが、もっとあったら嬉しいなと思っているのは公園情報なんです。たとえば、公園の遊具の対象年齢がいくつまでかとか、トイレはあるのか、ボール遊びはOKなのか、水場があるのか、などなど…。こういった情報を事前に知らずに公園に行くと、思わぬ水遊びで、びしょ濡れになって困ってしまう、といったこともあります。こどもは水場を見ると絶対に入っちゃうので(笑)。そういった子どもとおでかけする時に、事前に知ることができたら嬉しい情報を、わかりやすくまとめたいと思っています。
野口さん(以下、野口) もっと言うと、公園だけの情報ではなくて、公園の周辺の美味しいパン屋さんや、ランチ情報なんかもあると嬉しいです! お母さんたちにとっては、周辺のランチができるお店が美味しいか、小さい子どもと一緒でも安心して過ごせるのかなど、すごく関心のあることだと思います。他にも、大人が休める木陰があるのかと言った情報もあると嬉しいはずです。そういった公園選びの参考にしたい情報がまとまっていないという課題があり、網羅性や検索性のある佐賀県の公園MAPが必要なのではないか、というところが今回の企画のスタートラインでした。
太田 そういう意味では、ユーザーの子育て世代に感覚が近い人ほど、公園プラスアルファの何かに気づけるじゃないかと思っています。働くママさん、パパさんは大歓迎ですし、子育てにひと区切りついてこれから仕事に復帰しよう! という方も大歓迎です。もちろん、子育てはこれからだけど、子どもが好きで、こういった情報発信に興味がある方も歓迎しています。ありそうでなかった子育て世代が欲しい公園情報が詰まった公園MAPを一緒に作っていきたいです。
野口 他にも、佐賀に住んでいる人にとっては当たり前すぎて気が付いていない子育て環境の良さや、子育て体験を移住者目線から見つけてくださるといいなと思っています。「子育てし大県"さが"」のInstagramアカウントでは、子育てマンガを配信しているのですが、都会から佐賀県に移住してきた方々のエピソードは、視点が違って人気なんですよ。
子育て世代からの熱い要望を感じる公園情報。佐賀の公園が、都会の公園と違うところは何でしょうか。また、その魅力を発見するこの仕事には、どんな人が向いているのでしょうか。さらに詳しく伺いました。
太田 佐賀の公園は、ひとつひとつが広い気がします。ついこの間、子どもと行った公園がとっても広大ですごいなと思ったんですよね。子どもが地平線にめっちゃ走っていく~みたいな。北海道に来たかなっていうくらい(笑)。遊具もダイナミック。約200メートルのローラースライダーがある公園もあります。近隣県からわざわざ佐賀の公園まで遊びにくるファミリーもいらっしゃるそうですよ。
野口 このお仕事に向いてるのは、新しい人や場所との出会いを楽しめて、小さなことに感動してくれる人かな? と思っています。佐賀の公園は空が広いな、海が広いな、駐車場も広いな。でも、行列を作っているアリさんは小さいな。とか(笑)。そういう小さな幸せを見つけるのが得意な人がいいかもしれません。ぜひ、お子さんと一緒にいろんな公園やお店、素敵な風景を見つけに行ってほしいですね。ファミリーみんなで楽しんでほしい。こういうところで子育てしたいと、思ってほしいです。この仕事は、暮らしを楽しむことも仕事のひとつなのかもしれません。
「子どもとおでかけ編集室」は、企画から、ライティング、デザイン、印刷までを手掛ける小城市の株式会社音成印刷(以下、音成印刷)が全面バックアップする協働事業です。音成印刷は情報発信のプロ。佐賀県の県民だよりをはじめ、県内いくつもの自治体の広報誌や自社フリーペーパー「おぎなう」を作成しながら「地域の未来を創る」を目指している会社です。プロが隣にいるから、悩みはすぐに相談できるし、足りない技術、知りたいノウハウも惜しみなく提供していただける安心感があります。
そんな音成印刷の音成さんと眞子さんから、実際の働きかたや、情報発信のやりがいを伺いました。
音成さん(以下、音成) 情報発信の仕事として、まずは県内のさまざまな地域の広報誌の取材に同行していただく予定です。慣れてきたら自分で取材、ライティングをしてもらいます。日常的に編集・ライターの業務を体験することで、仕事の現場でも使えるスキルが身につくはずです。並行して、新設するSNSでは1年目から積極的に情報を発信することにチャレンジしてほしいですね。「こうしたい」「これを知ってもらいたい」という気持ちをポンポンッと発信してもらって、あぁこれは届いたね、これはあまり反応が良くなかったね、じゃあ次はどうしようかな、と。自分で試行錯誤、工夫する経験値も積めたらいいと思います。
眞子さん(以下、眞子) 書いた記事、撮った写真を見た人から、あそこに行ってみました。行ってよかった。美味しかったです。そういう声を直接聞けることは励みになります。紹介したお店の方からも、たくさんお客さんが来たよ、誌面に掲載したあの商品がいつも以上に売れたよ。みたいに喜んでいただくと、すごく楽しくて。どんどん地域に詳しくなって、好きなことが増えていきます。好きなものを好きだと思う気持ちは、文章にも写真にも出るんですよね。そこに気づいてもらえると本当に嬉しいです。
音成 SNSでの記事発信というと、日頃よく目にする全国型のネットニュースをイメージされるかもしれませんが、私たちの情報発信の仕事は、ちょっと違います。私たちはまず、必ず現地に足を運びます。地元の人と触れ合いながら、目の前の人、同じ生活圏の人が笑顔になってくれるような情報発信を心がけています。読者とも、取材先の方とも常に顔を合わせられる距離にいて、自分が書いた記事の効果がダイレクトに実感できるというのは大きな違いだと思います。
眞子 私も12年前、地域おこし協力隊と似た制度に応募して、音成印刷で働くことになりました。そこで生まれたのが当時、小城市で初めて誕生したフリーペーパー「おぎなう」です。「おぎなう」も今年で10年目に入り、隔月発行で63号目を数えました。おかげで小城市のことを好きになりましたし、音成印刷を通じて小城市で働く一つのモチベーションになっています。これから地域おこし協力隊に応募されるあなたにとっても、佐賀県が、特別な場所、大好きな地域のひとつになってくれればいいなと思います。
仕事の席は、音成印刷に用意してあります。これは3年の任期を終えた後で、そのまま情報発信の仕事で就職したり起業したりできる経験を積んでいただくためだそう。いわば「企業研修型」のようなものです。この仕事は、スキルを学ぶ研修でもあり、情報発信の仕事でもあります。
音成 弊社の戦略としても編集・ライターの人員を強化したいという思いがあります。任期後そのまま就職していただくことも歓迎します。地域において情報発信ができる人材を目指して共に成長してもらいたい。「子ども編集局」としてどんな情報を選び、誰にどう伝えるか。考え抜いたその先に、単なる情報発信に留まらない「地域の未来を創る」コンテンツがあるのだと思います。
野口 県としても県民になっていただけたら大変ありがたいです。継続した情報発信や公園MAPというカタチに残る成果物を名刺がわりにして、今後のキャリアも佐賀県で重ねていただけると嬉しいです。
子育て世代のニーズを叶えるという、やりがいのあるミッションと万全のバックアップ体制。佐賀県での暮らしを楽しみながら編集者、ライターとしてのスキルアップをしませんか? 暮らしのなかに小さな幸せを見つけるお仕事があなたを待っています。
取材・文:いわたてただすけ